6月23日(土)参加したG空間エキスポで、地図ガールのシンポジウムを聴講してきました。
すっかり遅くなりましたが、ライトニングトークのセッションをレポートにまとめてみました。
【講演,パネルディスカッション】
女子の地図力最前線―“地図ガール”の感性と新マーケット
趣旨:
このシンポジウムでは、女性目線からみた地図の世界を正面から取り上げます。ライフスタイルを確立した大人の女性は、どのような感性で空間をセレクトし、自分の価値観や趣味を満足させる行動をしているのでしょうか。シンポジウムでは、こうした地図の世界をリードする方々にパネリストとして登場いただき、女性から見た地図世界の問題点、地図への関わり方、好まれる地図表現、行動に結びつく地図情報などについて提言を頂きます。これにより、来場者の皆さんとともに女性目線の斬新さやユニークさ、さらに新マーケットとしての可能性を考えてみたいと思います。
■地図ガール6名によるライトニングトーク!
(1)「古地図に見る地図の多様性-ビジュアルマップを中心に-」
渡辺英恵さん(早稲田大学・学部生)
古地図の歴史を紐解きながら、「かわいい」「きれい」「たのしい」「おしゃれ」な地図を提案する渡辺さん。
女子にウケる地図の代表的な例として挙げたのは、明治時代の吉田初三郎氏のビジュアルマップ。鳥瞰図です。
もうひとつ渡辺さんが提案していたのは、古地図の楽しみ方。
CMや映画に登場する古地図には何が使われているか追究したり、古地図関連の旅先を選ぶなど、古地図ガールならでは。
私も先日、金沢のお土産の包み紙の古地図が気になったところです。
図書館に行って調べてみようかな。
(2)「東急線トライアングルチケット 女性向けPRへの挑戦」
宮嵜朋美さん(東京急行電鉄株式会社・「なでしこチーム」事務局)
東急電鉄が網羅する通勤経路を観光エリアとするアプローチの一つ、「トライアングルチケット」。
プロモーションの中で意識されているのは、女性にわかりやすい見せ方とのこと。そのエリアを散策するのにかかる時間、そして駅からの距離をわかりやすく表現することで出かけたい意欲を引き出します。
「駅からお店までの地図はデザイン的に載せなくて良い。必要なら自分で取りに行くのでリンクをつけた」という割り切りも成功のポイントとか。
昨年ジオガールズブログでも紹介しましたが、トライアングルエリアは一駅ごとに異なった魅力があり、途中下車が楽しめます。男性も利用OKですよー。1日おとな390円。おススメです。
・2011年9月30日 休日に女子力アップ!
(3)「旅行ガイドブックから見た女子の地図力」
千歳丸紀子さん(昭文社・ことりっぷチーム)
書店のガイドブックコーナーでひときわ目を引くかわいい装丁の「ことりっぷ」。
女子旅を計画するときに、旅のイメージがわきやすいので、購入したことがあります。
現在、国内52エリア、海外30エリアを網羅。20代半ば~30代の女性の声を聞いてできた商品とのこと。
自分のカメラで撮ったようなテイストの写真にしたり、自分用メモのための余白と紙質など、工夫が凝らされています。
コンテンツは全体的に女性を意識して作られていますが、地図についてはまだまだ改良の余地がある気がしました。千歳丸さんも、地図の色づかい、色数、情報の多さを指摘されていました。
書籍などの印刷物では加工編集ができますが、スマホやタブレットで表示する「行くためにガイドする地図」となるとまだまだデフォルトの地図に頼らざるを得ません。デフォルメではない、省略ではない、でも見やすい地図。ここはもっと考えていかないといけないなぁと思いました。
(4)「観光ガイドから見た女子の地図力」
福井靖子さん(神奈川SGGクラブ・通訳案内士)
福井さんは、通訳ガイドをする際に、ポケット版の地図を愛用しているそうです。建物が色分けがされているため、急なお客様の要望が出たときに、いきたい場所を見つけやすいとか。
また、提案されていたのは、地図の中の目印について。
マクドナルドやケンタッキーなど、世界共通のまーくはもちろん有効ですが、外国からのお客様の場合は外貨両替ができる場所など、利用目的に応じした目印の出しわけがあるとよいとのこと。
(5)「街歩き地図と女性」
八代愛さん(ゼンリンデータコム)
「ラストワンマイルでわかりやすいものを」というコンセプトのもとに、「街歩き地図」を提案。
街歩き地図では、
・地下鉄の出入口を優先して表示
・地下鉄の出入口名称を若干大きく表示
・地下街エリアを斜線の塗りつぶしで強調して表現
・コンビニ・ファーストフードなど街中のランドマークや建物のコントラストを強調して表現
などで、徒歩利用のための最適化を行っているとのこと。
街歩きの尺度では、駅周りや屋内の地図表現はとても重要です。
交差点名がわからなくても、必要なランドマークが見つけやすいこと。
女性にとって地図に求めるものは、「不安解消ツール」としての役割なのかも。
他には、地図を使ったアイテムを紹介。
地図のドレスは初めてみました!
ジオガールズたちも、地球儀が大好き。アナログに手に取れる地図って、いいですよね。
(6)「認知心理学から見た女子向け地図の意義」
新垣紀子さん(成城大学社会イノベーション学部)
ライトニングトークの最後は、認知しやすい地図のお話。
男性にも女性にも共通して認知しやすい地図の向きがあるそうです。
すなわち、面している方向にあっていないと難しい。
この画像の例だと、ほとんどクイズですよね。
正しい部屋まで行くためには、まず頭の中に立体の間取り図を構築するところから始めなくてはいけません。
でもこのように、向かう方向に面していると、どちらに行けばよいか一目瞭然です。
日本のショッピングセンターなどにある地図は、「向かう方向に面している地図」になってきているとのこと。使う人の立場に立った表現の仕方。ここには性別の差はなくて、男女ともにわかりやすい方がいいのは当たり前ですよね。
■まとめ
地図だけにフォーカスした議論はとても新鮮でした。
また、同じ女性の視点ということもあり、「なるほど!」と頷く場面もたくさん。
特に鳥瞰図が女性に受け入れやすいという点には共感しました。
鳥瞰図は「おおよそどちらの方面に何がある」というのが俯瞰してわかるので、視覚的に受け取りやすい情報の見せ方です。実際そこにたどり着くとなると鳥瞰図では難しいと思いますが、どのエリアに行けばよいかの目安になります。
女性が鳥瞰図を好むのだとすると、嗅覚に近い本能的な衝動が行動を支配しているのかもしれませんね。
全体を通じて、地図自体の表現や見やすさだけではなく、地図を表示するタイミングや配置も重要なんだと再認識しました。
ぜひ機会があれば、地図ガール×ジオガールで、ジオメディアのこれからを熱く語ってみたいです。
Written by Chie (@crispytaffy)
このコメントは投稿者によって削除されました。
返信削除