2012年4月24日火曜日

ジオ×宇宙で初ハック!ISACに参加してきました #spaceapps_tokyo

こんにちは。Chieです。

4月21日、22日に駒場東大リサーチキャンパスで宇宙観測データを使ったNASAのハッカソンに参加しました。


その名も、「International Space Apps Challenge」、略してISAC。
全世界25サイトで同時開催という、大きなイベントです。世界中の参加者は約2000人!
そして、日本の会場は東京。約100人近くがエントリーし、会場で開発に参加したのは70人くらい。宇宙が題材ということもあり、自由な発想でChallengeのテーマもさまざま。

[ISAC日本語サイトより抜粋]
International Space Apps Challengeは、米国政府が進める「Open Government Partnership」の一環であり、世界中の科学者と市民が一致協力し、政府が保有するデータを活用することで、地上および宇宙空間の課題解決に取り組むことを示す活動です。

今回のコンテストは、東京のほか、サンフランシスコ(アメリカ)、エクスター(イギリス)、シドニー(オーストラリア)、サンパウロ(ブラジル)、ナイロビ(ケニア)、ジャカルタ(インドネシア)、マクマード基地(南極大陸)、国際宇宙ステーションで行われます。

International Space Apps Challengeは、単にモバイルアプリを開発するだけのものではありません。イベントでは、ソフトウエア、オープンハードウエア、市民科学、データの可視化という4個の課題に取り組み、オープン・イノベーションと協業型課題解決のためのプラットフォームを提供します。



■チャレンジのテーマは「宇宙とつながるジオソーシャル」

4月10日に開催されたアイデアソン。あらかじめ考えたアイデアがある人が発表し、そこからチームを作りハッカソンに向けてアイデアを掘り下げるイベントです。

いくつかあるアイデアの中に、星が見えない都会の課題を発表した方がいました。「星が見える場所を教えてもらいたい」ということが解決したい課題です。ソフトウェアの切り口で、星そのものをコンテンツとしてユーザーの生活を楽しく変えるところに着目していたので、ジオ業界での経験も活かせそうな気がして参加することに決めました。
同じチームになったのは、私を含めて6名。初めてお会いする方ばかりです。


ブレストを進める中、最初は星をどこでどう見せるかより、「人とのつながり」に関するアイデアに議論が集中します。
そして、チームの目標はいつしか「星の存在を身近に感じられるようにしたい!」というところに変わっていました。

ISACには、東京サイトでの参加チームを表彰する「ローカルアワード」と、世界中のチャレンジを対象にした「グローバルアワード」の2つの審査があります。
さっそくグローバルアワードにも私たちのチャレンジテーマ「Space-Geosocial App」をエントリー。同じテーマに興味を持ってくれた世界サイトのメンバーとのチャレンジの幕開けです。


■初めてのハッカソン

今回のISACへの参加そのものが、自分にとってのチャレンジでした。これまでアイデアソンには参加したことはありますが、本格的に何かを作り上げるハッカソンは初めてでした。

チームリーダーの提案のもと、アイデアソン以降も議論を重ね、企画をブラッシュアップ。「星に想いを乗せてチェックイン。その想いが時間とともに夜空を流れる」、そんなアプリを目指すことにしました。また、あらかじめ技術的な裏付けも確認することができました。

そしてハッカソン当日。

事前にメンバーのタスクも割り振られていたので、スムースに開発着手できました。
開発できないと役に立てないのかな、、、と思っていたのですが、実際にはチームで必要とされるタスクがたくさんありました。最初に集まったメンバーが、エンジニア、映像クリエイター、企画ディレクターと、バランスのとれたメンバーが集まっていたこともあると思います。ハッカソン当日にエンジニアが1名加わり、全部で7名のチーム。アプリ開発、プレゼン制作の大きくふたつのタスクに分けたことで、効率よく開発が進みました。

会場の雰囲気はこんな感じです。写っているのはチームの開発メンバーのみなさんです。
真剣そのもの。

1日目の夜には、なんと宇宙寿司が振る舞われました!完成度が高すぎです。はやぶさケーキも!

お気に入りの宇宙寿司はこちらのスペースシャトル。
食べるのがもったいなかったのですが、関さんによるケーキカットならぬ「燃料切り離し」をして、みんなでおいしくいただきました。

その他にもハンバーガー、宇宙食ゼリー、シャンパンなど、たくさんご提供いただきました。スポンサー企業のみなさま、ご馳走様でした!
そして、ハッカソン会場やグッズ、Tシャツ制作のコスト負担、開発用サーバーも。モチベーション高く、そして気持ちよく開発に集中できる環境を提供していただき、本当にありがとうございます。



宇宙食ゼリーを開封する古橋さん。


■誕生したアプリ「LinkAStar」

2日間はあっという間でした。無事に2日間のチャレンジを終え、ひとつのアプリが誕生しました。
その名は「LinkAStar(リンカスタ)」です。限られた時間の中で、今回のコアとなる機能の開発を終えることができました。

少しだけ私たちのアプリに込めたメッセージをご紹介しますね。

今いる場所から見える星に想いを載せてチェックイン。
すると、その星は時間とともに流れ、別の場所にいる人の頭上に輝きます。
そして、いつしか空に輝く星は、いくつもの願いや想いがつまったメッセンジャーになります。
遠く離れた家族と同じ星を眺めたり、どこかの国の誰かの願いを偶然手にしたり。

星空を見上げても、実際に星は選べません。それを可能にしたのが、LinkAStarの星空ビューです。視線の動きに合わせてiPhoneを動かすと、目の前に広がる星空をすぐ近くに再現することができます。そして、星を選び、想いを載せて、空に放つことができます。想いを誰かと共有したいときは、自分のソーシャルフィードにPOSTすることも可能です。

星空ビューはこんな感じです。

開発者の本間さんによるデモ。左右に動かすと、その視線の先にある星をタイムラグを感じさせずに描画できます。
(photo by Takayuki Yamaguchi)


4分間のプレゼンを終え、結果発表。
とても名誉なことに、ローカルアワードで第2位をいただきました!

そして、この7名がチームメンバーです。
2日間、そしてアイデアソンから含むと2週間を一緒に戦い抜きました。

この次のステップは、続いて行われるグローバルアワードへのSubmissionです。世界25サイトのローカルアワードを勝ち抜いたソリューションとの競い合いが待っています。
そういう意味では、まだチャレンジは終わっていないので振り返りは早いかもしれませんね。


■宇宙ハック×ジオメディア

今回参加した各チームのアイデアは、とても自由な発想に基づいていました。

「宇宙データを活用した3次元プリントのプラットフォーム」
「磁力線でつながっている人同士をつなぐSNS」
「宇宙の電波を利用して瞑想する装置」
などなど、いったいどんなアプリになるか想像できないものばかりです。

そんな中、いくつかのチームでは「ジオメディア」というキーワードがいくつか登場していました。
ジオメディアの観点で興味を持った2つのプロジェクトをご紹介します。

(1)Co-Cupola(コキューポラ)
国内1位となった作品です!
ISS(国際宇宙ステーション)の窓からの景色を手軽に眺められるアプリです。必要なのはPCとプロジェクターと白い天井のみ。
そこに広がるのは宇宙から見た地球の姿です。窓から流れる景色に、時間が経つのも忘れ、本当に地球を眺めている気持ちになります。

表彰式の後には、みんなで月見ならぬ、「地球見」を堪能しました。
(photo by Takayuki Yamaguchi)


これは地球儀好きには堪りません。さっそく、自宅に導入を検討しようと思います!


(2)CONNECT - Magnetic Field Line connect Our Life
こちらは、磁力線の反対側の地点にある情報が入手できるアプリです。JAXA賞(すなわち、国内4位)を受賞!
磁力線はS極とN極を持つ1本の線です。磁石に砂鉄を近づけるとS極とN極とでつながった曲線を描きだしますが、同じものが地球にも存在します。今いる場所からの磁力線をたどると、必ず反対の地点が存在するということです。
東京(FROM)の反対側のオーストラリアのある都市(TO)の地点には何があるか。運命の赤い糸の反対側みたいですよね。
(photo by Takayuki Yamaguchi)


ちなみにプレゼンの中で、審査員で参加されている山崎直子さんのリクエストで、南極のある地点の反対側がどこか見てみることに。当然北極かと思ったら、アラスカのあたりでした!
1本の線に端と端があるというところに、他にも面白いサービスが作れそうな魅力を感じました。


■まとめ

宇宙初心者、しかもエンジニア経験ゼロでしたが、勇気を出して参加して本当に良かったです。
特に今回は、人とのつながりを意識したSpace-Geosocialへのチャレンジということもあり、ジオメディアやソーシャルメディアを使って得た知識や体験が、即座に判断が求められる場面で非常に役立ちました。

また、今回は国際的なイベントということもあり、英語力も求められました。グローバルのSubmissionはすべて英語で行います。Twitterも英語でのコミュニケーションが中心です。海外サイトの参加者との交流を楽しむ余裕はなかったですが、海外サイトのメンバーからも反響がいくつかあったのは嬉しかったです。
この先、自分たちのソリューションがどこまで世界の人々の心に響くか、グローバルアワードの審査結果も楽しみです。

ジオ×宇宙。教育×宇宙。○○×宇宙。

もっともっといろいろなアイデアが生まれそうな気がします。
少しでも宇宙や星に興味がある方。NASAが大好きという方。次回はぜひ一緒にチャレンジしてみましょうー。


最後になりますが、東京開催を推進して万全の準備をしてくださった関さん、そして運営スタッフのみなさま。
本当にありがとうございました&お疲れ様でした!


▽イベント紹介記事
・2012年4月2日 4月21・22日に宇宙観測データを使ったハッカソン「International Space Apps Challenge Tokyo」を開催します【関治之】
・2012年4月23日 宇宙関連のアプリ開発イベント、国内1位は「ISSから見る地球」

本体サイトのブログ
・April 22, 2012 Astronomers, Astrophysicists and Astronauts


Written by Chie (@crispytaffy)

1 件のコメント:

  1. 磁力線の反対側か。まさに絆みたい。
    これらのアプリはフリーウェアとして
    入手できるのでしょうか?

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